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アジア 10年前

新天地はラオス。17ヵ国でプレーしてきた異色の選手・伊藤壇。アジアの開拓者としての矜持

text by 本多辰成 photo by editorial staff

「最終的には、自分で行って自分で価値を示すしかない」

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伊藤はラオス・プレミアリーグの日本人選手第一号となった【写真:編集部】

 チームを選ぶ際には、その国で住んでみたい地域を重視するという伊藤。「ラオスでは、やっぱり首都のビエンチャンに住みたい」とチームをリサーチしていたところ、関口氏から紹介されたクラブもちょうどビエンチャンにあるラオ・トヨタFCだった。だが、最初の段階では年齢面で難色を示されたという。

「メールなどで連絡をとっていたんですが、なかなか話が進まなかったのでちょうど現地にいた知人に聞いてみてもらったところ、『年齢的に、ちょっと』という答えだった、と。それでもとりあえず乗り込んでいったら、ちゃんと空港にも迎えに来てくれて実際にはウエルカムな感じでした。最終的には、自分で行って自分で価値を示すしかないので」

 練習参加では「Jリーグでも1試合しかやったことがない」という慣れないFWでのプレーを求められたが、「その段階でFWはできないと言ったら、いらないと言われるだけ」と、与えられた場所で淡々とアピール。結果、見事に契約を掴みとった。

 ラオス・プレミアリーグは動き出したばかりであり、まだまだ発展途上。伊藤は同リーグの日本人選手第一号であり、契約を結んだラオ・トヨタFCも今季からリーグに参戦する新しいクラブだ。

「ラオ・トヨタFCはタイのBECテロ・サーサナと提携をしていて、資金力を生かして去年3位のチームから多くの選手を獲得したそうです。今はまだ外国人を獲っているチームは4、5クラブしかないみたいですが、これからのリーグだな、というのはすごく感じます。日本人選手の選択肢にもなってくると思いますよ」

 その言葉を証明するように、すぐに伊藤に続くリーグ2人目の日本人選手としてハンガリーリーグなどで活躍した本間和生が同じくラオ・トヨタFCに加入。「日本人選手の選択肢」となる可能性を早くも漂わせ始めている。

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