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アジア 10年前

新天地はラオス。17ヵ国でプレーしてきた異色の選手・伊藤壇。アジアの開拓者としての矜持

text by 本多辰成 photo by editorial staff

終わらない「アジアの開拓者」の旅

新天地はラオス。17ヵ国でプレーしてきた異色の選手・伊藤壇。アジアの開拓者としての矜持
伊藤が「日本人選手第一号」となったアジアのリーグは、今回のラオスが初めてではない【写真:編集部】

 伊藤が「日本人選手第一号」となったアジアのリーグは、今回のラオスが初めてではない。これまでにもベトナム、モルディブ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマーと5つの国のリーグで初の日本人選手となってきた。その責任の重さは、強く感じている。

「その国で初の日本人選手というのは、本当に責任重大です。結果ももちろんですが、私生活などでも、何をしても『日本人は、こう』とひとくくりにされてしまいます。実際、以前にいた日本人選手が良くてアドバンテージを感じた国もあるし、逆に良くなくてマイナスからのスタートということもありました。自分でもそれを実感してきているので」

 一年一年、常に新たな地でゼロから自分をアピールしなければいけない過酷な状況に身を置いてきた伊藤。そんな状況も「けっこう楽しんでやっている」のだというが、渡り歩いたリーグ数「17」はすでに前人未到の領域だ。長いアジアの旅が終わった時にはギネス記録としての申請も考えているという。

 伊藤が切り開いてきたアジアの道には今、多くの日本人選手が続き、大きな時代の流れが生まれようとしている。その可能性を最初に感じとった日本人選手が伊藤だった、とも言えるだろう。

「最初はJリーグでの悔しさもあって『これからはアジアの時代』と言っていた面もあるんですが、すぐに『本当にアジアの時代が来るんじゃないか』と感じました。レベル面もそうですが、契約条件の面でも思っているほど日本と差がない。日本人選手にとっても、選択肢になる時が必ず来るだろうと」

 まだ終着点の見えない「アジアの開拓者」の旅は、今季も日本人選手にとっての未知の国を舞台に続く。

【了】

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