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運用資産10兆円、圧倒的な資金力が影響か。カタールのW杯をめぐる不正が追及されない理由

カタールW杯をめぐる癒着事件は収束の気配を見せない。今後も事態は動きそうだが、どうやらカタールの影響力が下がることはなさそうだ。それは、彼らの圧倒的な資金力。サッカー界を操るなど、造作も無いことなのだ。

text by 植田路生 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ブラッター、プラティニとの密約

 約1年前、「フランス・フットボール誌」が特集を組んだ、2022年カタールW杯をめぐる多くの疑惑。通称「カタールゲート」と呼ばれる大規模な癒着事件だが、未だ収束していない。そればかりか新たな事実が明らかにされ、サッカー界に大きな混乱が巻き起こる可能性がある。

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W杯開催を巡る三角関係

 2022年のW杯開催地が決定したとき、多くの人がカタールの莫大な資金による影響力を感じたはずだ。そこに踏み込んだのがフランス・フットボール誌の特集記事だった。UEFA会長のミシェル・プラティニと、当時のフランス国大統領ニコラ・サルコジがフランスへの多額の、多方面にわたる融資などと引き換えにカタールへの投票を“約束した”というものだ。

 そしてこれにはFIFA会長のジョセフ・ブラッターも関係している。プラティニが次期FIFA会長に立候補した際にはブラッターが彼を全面支援し、プラティニはブラッターをFIFA名誉会長とする、という密約疑惑がある。当然、カタールもプラティニへの後押しを約束しているという。

サッカー批評66』(1月10日発売)では、田村修一氏がカタールゲートを追うフランス・フットボールのエリック・シャンペル記者に話を聞き、その後の動向を探っている。

 それによれば、FIFA倫理委員会による調査が本格的に始まったという。動き出しの遅さは気になるが、シャンペン氏は「早ければ今年末にはすべてが明らかになるだろう」と語っている。

 とどのつまり、今まで疑惑に終わっていた収賄などの事実が白日の下に晒され、世間一般の人々がサッカー界のトップの不祥事を知ることになる。灰色の疑惑が黒くなるのだ。

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