フットボールチャンネル

香川真司 10年前

苦境の要因はマンU監督ではなく自分自身にあり――。英国人記者が分析する、香川真司に足りないこと

text by ショーン・キャロル photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

“親善試合”でのPK失敗から見えるもの

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香川真司【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 モイーズがそのことについて最初に疑問を持ったのは、昨年7月のセレッソ大阪戦かもしれない。香川は、彼の凱旋試合であるにも関わらず、非常にナーバスになっていた。

 PKを外してしまった元セレッソ大阪の8番は「焦点を合わせることが出来なかった。PKで得点していたら、あまりうれしくないだろうと思った。しっかり得点したかった。PKを蹴る瞬間には混乱していた」と語っている。

 彼は、結局オープンプレーから得点を決めた。しかし、モイーズには不安が残っただろう。4万人のファンがゴールを望むスタジアムでPKを蹴る際に集中できない選手が、チャンピオンズリーグのノックアウトラウンドに対処出来るのか?

 本田圭佑は、名古屋グランパスでPKと蹴るときにイライラしていたのか? 私には大きな疑問だ。

 フットボールチャンネルが掲載したレヴィー・クルピ監督のコメントは、常にトップレベルでのプレーを思い描いていた強い心を持った若い頃の香川を説明していた。

 香川には誇るべき成果がたしかに存在する。だが、そのレベルに留まるには更なる献身と信念が必要だ。香川のプロ意識は否定されるものではないが、後者(信念)は確かに現時点では不足していると思われる。

 本田との比較(彼は自身が欠如していると非難されることはない)は便利なものだが、香川の現在の苦境に関しては、エデン・アザールのキャリアの軌跡を参考にしたほうが、より有益である。

 香川がユナイテッドに加わったのと同時にチェルシーと契約したベルギー人は、香川の序列が下がり続ける一方で、プレミアリーグのスターの一人となった(ヨーロッパでの実績はほぼ同じ状況で移籍してきたにも関わらず)。

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