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“香川ジレンマ”のデジャヴ。マタ活かせぬモイーズ、無駄だった63億円の投資

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Marc Morris / Kaz Photography

批判避けるためのマタ獲得か?

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パトリス・エブラ【写真:Marc Morris / Kaz Photography】

 移籍解禁前、マンチェスター・Uの補強ポイントはDF陣といわれていた。黄金のセンターバックコンビだったファーディナンド、ビディチに加え、左SBのエブラに衰えが目立ち、右SBはまだラファエルがレギュラーをつかみ切れていない状況で、スモーリングやバレンシアがこの位置を守ることも多い。

 しかしマンチェスター・UはそんなDF陣をほっといて、マタに63億円を使った。

 それは、このまま補強せず、欧州CL出場権を逃した場合、クラブの対応が批判の対象になるからだろう。

 もちろん、衰えが目立つDFとともに、中盤に“創造性が必要だ”という指摘があったが、それは選手より監督の責任だ。

 チームのスタイルの決定は監督の権限。クロス偏重の創造性がないサッカーを選択したのはモイーズである。

 アーセナル戦後、英各紙には「マタのベストポジションはトップ下。しかしルーニー優先でスペイン代表MFが真価を発揮できない」といった、どこかで読んだような論評が展開されている。

 そう、結局モイーズは、63億円を使って、香川のジレンマをマタに味わらせただけなのである。

【了】

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