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“香川ジレンマ”のデジャヴ。マタ活かせぬモイーズ、無駄だった63億円の投資

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Marc Morris / Kaz Photography

63億円の投資効果はあったのか?

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マタ獲得は“パニック獲得”だったのか?【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 当然、試合後の会見でも地元記者からマタのパフォーマンスに対し、「どうも新しいクラブのサッカーに対応し切れていないようだが」という質問が飛んだ。

 すると、モイーズ監督は「彼は良くプレーした。この3~4戦でうちのベストの選手だろう。際立って素晴らしい。交代は、ラスト20分でアドナン(ヤヌザイ)が、(マタとは)違った形で相手の問題になるところが見たかったからだ。マタは本当に良くやっている。確か2~3アシストも決めているはず。彼の加入に関しては本当に喜んでいる」と語った。

 彼が「ベストの選手」ならなぜ、後半30分の時点で交代させたのだろう。ファーディナンドが後半1分で入ったのはラファエルの負傷が原因。とすれば、マタは交代の1番手だった。

 交代理由に関しては、「違った形で相手の問題になるところが見たかった」と話しているが、正直、この試合でマタが相手の「problem」(問題)になっていたとは思えない。攻撃陣の中で一番効果的なプレーができていなかった。だから代えられたのだ。

 今季、マタはモウリーニョに干された。出場機会を与えられても、サブを送られた。モイーズから顔を背けた瞬間、スペイン代表の頭の中には、そんな屈辱の記憶がよぎっていたのではないだろうか。

 だいたい、トップ下は、4-4-2への変化ということを考えれば、ルーニー、香川、ウェルベック、ヤヌザイ、と人材が揃っていた。そこにクラブ史上最高金額の63億円を投入してマタを獲得。ところが、小さなスペイン人加入後の成績は1勝1敗2分。とてもじゃないが、投資効果があったとは言いがたい。

 というより、やはりマタ獲得は1月末の“パニック獲得”だったのではないか。

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