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アジア 10年前

【現地で直撃】岩政大樹はなぜ鹿島からタイへ移籍したのか? 元日本代表選手の“新たな挑戦”を追う

text by 長沢正博 photo by Masahiro Nagasawa

高いハードルとプレッシャーを楽しむ

 そうして昨年、鹿島退団を決めると、移籍先は海外、なおかつタイを中心に考えていたという。近年、盛り上がりを見せているとはいえ、いまだ発展途上のリーグを選んだのも考えがあってのことだった。

「その時は、日本におけるブラジル人選手のように、助っ人として呼んでもらいたいと考えていたんです。鹿島という知名度があるチームにいて、日本代表にも入っていた。タイに僕が来たら助っ人扱いですよね。普通のプレー、結果ではいけない。最初から高いハードルが設定されている。それが面白そうだなと思いました」

 現にチームのホームページには“Jリーグのレジェンド”なる文字も躍った。アジアチャンピオンズリーグで準優勝の経験がありながら、近年はタイトル争いから遠ざかっているチームにあって、期待の高さがうかがえる。

「もちろんプレッシャーはあるけど、そのプレッシャーを楽しめるというか、全然違うことができるというのが大きなポイントでした。残り少ないサッカー人生ですから、面白そうなことを毎年、選びながらやりたい」

 プロキャリア10年を過ぎて、初めての移籍。しかも鹿島という日本のトップチームからタイとあって、ギャップに戸惑うのではと思ったが、本人はいたって冷静に環境の違いを受け止めていた。

「移籍は初めてですけど、この歳(32歳)になっていますので、色んなことを冷静に見られる。例えばクラブハウスがないとか、毎日スパイクを持って行かなくちゃいけないとか、シャワーも水しか出ないとか、そんな状況ですけど、そういう所なんだと捉えられる。移籍の仕方が特殊なので、その点で嫌なことはあまりなかったですね」

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