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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その2)

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール text by 田崎健太 photo by Kenta Tazaki , Kenzaburo Matsuoka

「ネイマールのような選手は100年間で5人程度しか出てこない」

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その2)
パサロは「ネイマールのような選手は100年間で5人程度しか出てこない」と語る【写真:松岡健三郎】

 DBが特に力を入れているのが、ブラジル国外での大会に参加することだ。

「年に二度は国外遠征に出かけている1回の遠征で2つの大会に参加することが多い。2014年は2月にイタリア、5月にはオランダで3つの大会、ドイツで一つの大会を予定している。その他、サンパウロ州など国内の大会にも参加する」

 寮費、食費、小遣い――選手の育成には多くの投資が必要だ。特に金が掛かるのが、この国外遠征だという。

「一度の遠征に旅費等で少なく見積もって1万5000ドルは掛かる。学費、寮費などを加えれば、18才になるまでに少なくとも一人当たり10万ドルの経費が掛かっている」

 そのため、選手をそれ以上の値段で売れなければ赤字となる。

 前出のボテーリョに収支を訊ねると、「クラブを始めた当初と比べると、スタッフ、選手の数も減らした。そのため、年間の収支では赤字にはなっていない」という答えが返ってきた。

 過去の投資分を取り返す見通しがあるのかとさらに聞くと、彼は口の端を上げた。

「私はリアリストだ。ネイマールのような何十億もの移籍金が発生する選手を育てれば、これまでの投資を取り戻すことはできる。しかし、ネイマールのような選手は100年間で5人程度しか出てこない」

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