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本田圭佑 10年前

右での起用はセードルフ監督から本田圭佑への温情か。トップ下よりも機能していた現実

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

守備ではピンチ救う。攻撃で何が問題だったのか?

 メディアではセードルフ監督に対する批判も含めて、右サイドでの起用が問題視されている。もっともウディネーゼ戦では、それ自体に問題はなかった印象だ。

 守備では、サイドのスペースをカバー。相手がバックラインでビルドアップを仕掛ければプレスに行き、相手が攻め込んでくれば引いてくる。特にFKの守備から展開を止めた後半6分、ガブリエウ・シウバへのスルーパスをスライディングで削った後半10分のプレーは、失点に繋がりかねないピンチを救ったものだった。

 攻撃面においても、本田が盛んに中に入ってくることをセードルフ監督は許容していたし、戦術的にも有効活用されていた節があった。

 ウディネーゼは、守備の段階においてはほぼマンマークの対応をする。本田につくのは左WBのガブリエウ・シウバだが、彼は本田が中に絞ると一緒についてきた。結果的にミランから見た右サイドが空き、デ・シリオはそのスペースを使って攻め上がって2、3度危険なチャンスを作っている。

「ガゼッタ・デッロ・スポルト」の試合分析ページでは「本田は中に入るので相手のWB(ガブリエウ・シウバ)にスペースを与えた」とされているが、これはむしろ逆だろう。

 問題は本田が中に絞り、フリーになったところでパスはあまり回って来なかったこと。そして彼自身が前を向いてボールをキープした時に、危険なプレーが出来なかったことだ。

 縦パスでFWに前を向かせ、シュートをお膳立て出来たのは前半26分の一度のみ。後半3分にエリア内で見せた細かいダイレクトパスなど、技術の高さは所々で見せてはいても、それがシュートチャンスに直結していなかった。

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