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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その4)

サッカー選手の育成は工場製品とは違う

 DBのトレーニングセンターは、サッカーの練習だけでなく、食事、教育まで良く管理され、サッカー界の「トヨタの工場」のようだ。

 ただ――。

 工業製品は正しく設計図を作り、間違いのない部品を組み上げれば失敗はない。一方、サッカー選手は“生もの”である。将来性を見極めることは非常に難しい。

 先天的な身体的能力、技術に加えて、頭脳、精神力、自制心が必要となる。成長速度も様々だ。それぞれ個性があり、ちょっとした躓きで才能が消えてしまうこともある。

 DBからクラッキ(才能ある選手)が産まれるか――。

 まだ判断を下すには早いが、すでに創立当時から方向を転換している。

 DB設立を推し進めた、当時のCEOだったジュリオ・マリスはすでにトラフィックを去った。かつてスカウトに起用していた著名な選手たちもいない。育成する選手の数も絞った。規模を縮小しながら、赤字を出さないように運営を続けている状態だ。

 トラフィックの人間はみな、賢そうで、つるんとした銀行員のような印象がある。個性の強いブラジルのサッカー界の強者と比べると、迫力に欠ける。

 その彼らが混沌たるブラジルのサッカー界に新風を吹き込むことができるのか、今後を注視したい。

【了】

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