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連覇の確率は70%、3つの要素で読む王者の戦術。スペイン代表が仕掛ける“二重の嘘”とは?

text by 小澤一郎 photo by Getty Images

戦術キーワード(3)「フエゴ・インテリオール」中のプレーでサイドを活かす

フエゴ・インテリオールによるポジショニング例
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フエゴ・インテリオールによるポジショニング例。スペイン代表は、偽サイドハーフの動きをきっかけに、サイドバックを上がらせて、効果的にサイドを狙う。

 3つ目の戦術キーワードは、フエゴ・インテリオールと呼ばれる「中でのプレー」だ。

 ポゼッション型のサッカーを志向するスペイン代表においては、ボールを保持することが基本コンセプトとなるため中盤にハイクオリティな選手を揃える必要がある。ここで言う「ハイクオリティな選手」とは、中盤で数的同数の状況でも、時に数的不利であっても、ボールを失わず、ミスを犯さずプレー(パス)を成功させることのできる選手のことを指す。

 スペイン代表のパス回しを見てもらえれば一目瞭然なのだが、中盤ではマークに付かれていようが、二人、三人に囲まれていようが、中盤のセンターに構える選手たちにパスを付けていく。このフエゴ・インテリオールがあるからこそ、サイドが効果的に使えることになる。

 そういった意味で、先ほどのファルソ・エストレーモの戦術(サイドハーフが中に入ってきてプレーする)は、中盤センターでの数的優位やフエゴ・インテリオールを作ることを意図するサブコンセプトになっている。

 逆に言うと、中盤の選手へのマークやプレッシャーが少し厳しい程度でパスの優先順位や方向をサイドに向けてしまうようなレベルのチームがポゼッション型のサッカーを目指すことには限界があるということ。

 いずれにせよ、今のスペイン代表の中でのプレークオリティは観戦する上でも注目点となる。

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