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連覇の確率は70%、3つの要素で読む王者の戦術。スペイン代表が仕掛ける“二重の嘘”とは?

text by 小澤一郎 photo by Getty Images

戦術キーワード(2)「ドブレ・ファルソ」二重の嘘を仕掛ける

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「偽の9番」に入ることの多いセスクとシルバ【写真:Getty Images】

 2つ目の戦術キーワードは、ドブレ・ファルソ。直訳すると「二重の嘘」となるが、偽のポジションが2つ存在するという意味だ。

 偽9番として本大会でも起用されると考えられるだろうセスクとシルバの違いを戦術的に説明すると、セスクは相手DFラインの背後への飛び出し能力が高いため、攻撃に深さが出る。

 逆にシルバは一度バイタルエリア付近にあるCBとボランチのライン間にポジションを取り、足下でボールを受けてからのプレーを得意としており、狭い局面で厳しいプレスがかかっていても高い技術と初速の速さでマークをはがすか、コンビネーションプレーで中央突破を試みる攻撃が多くなる。

 偽9番の戦術は、グアルディオラ(現バイエルン監督)がバルセロナの監督時代にメッシを起用して以降、今や世界的に活用される戦術の一つだが、スペイン代表のファルソ(偽)は9番のみではない。

 そして、もう一つは「ファルソ・エストレーモ」という偽ウイングの戦術だ。

 システムを4-2-3-1と表記するのであれば、「偽サイドハーフ」が正しい表現・認識かもしれないが、イニエスタ、ペドロ、シルバがサイドハーフのポジションに入る時はサイドに張って幅を取るタスクではなく、中に入って偽ウイングとしてプレーしながらタクトを振り、サイドバックの攻撃参加を促す。特に左サイドのイニエスタとジョルディ・アルバは普段から同じクラブ(バルセロナ)でプレーしているので連携が取れている。

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