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日本が注意すべきは肘打ち? 怠惰な国民性の裏に潜む狡猾さ。経験者が語るギリシャサッカーの美学と弱点

text by 杉山孝 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「ゴツさが全然違う」、屈強なDF陣

日本が注意すべきは肘打ち? 怠惰な国民性の裏に潜む狡猾さ。経験者が語るギリシャサッカーの美学と弱点
キャプテンのギオルゴス・カラグニス。攻守に渡ってチームを牽引する【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ギリシャ代表がサッカー史に残した一番大きな足跡は、やはり2004年の欧州選手権優勝だろう。あの堅守をベースにしたスタイルは、栄光から10年近く経つ今もしっかり残っているようだ。

 坂田が在籍していた当時、アリスではレギュラーの大半は坂田ら外国人選手が占めたという。ただし、「GKとCBはギリシャ人で、その選手たちは代表クラス」の力の持ち主だったという。

「何とか守って、1点取って勝とうとする。それがギリシャ人の考え方」(坂田)という勝利の方程式の要衝が、自国のヒーローに託されている。この構図は、オリンピアコスやパナシナイコスといった強豪でも変わらない。

 ギリシャ代表の堅守速攻は、国内リーグの日常をそのまま反映している。日本でも中澤佑二ら高さのある選手はいるが、両国リーグを肌で知る坂田は「ゴツさが全然違う」とギリシャ人DFの屈強さを語る。

 対して攻撃面では、代表チームで1トップを務めるコンスタンティノス・ミトログル(オリンピアコス)が急成長中だが、上位クラブではスペイン人など他国のタレントが局面打開を託される。

 上位チームも速攻が武器で、こちらも守備同様にスタイルがそのまま代表チームに持ち込まれている。小柄で素早い選手と組ませる場合も多いというが、ボールを収められる大型FWを前線に置きたがるチームがほとんどだという。

「おそらく日本が敵陣でボールを持つ時間が長くなると思う。でも、ギリシャはボールを持たれるのに慣れているから、“一発”が怖い」(坂田)

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