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わずかな差の積み重ねがなんと140億円の差に。ドルトムントとシャルケに見る、資金力と成績の関係

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

わずかな差だが合計で見ると約140億円も…

 次に負債額だが、ドルトムントが43.3ミリオン・ユーロ(約60億6200万円)であるのに対して、シャルケは178.3ミリオン・ユーロ(約249億6200万円)となっている。この額はシャルケがドルトムントに対して圧倒的に多い。ドルトムントについては2005年に破産の危機に陥ったことを考えれば、いかに経営努力を重ねてきたかが良く解る。

 そしてメインスポンサー、つまりユニフォームの胸スポンサーのことだが、ドルトムントはエヴォニック社(2016年まで)で年間12ミリオン・ユーロ(約16億8000万円)、シャルケがガスプロム社(2017年まで)で年間17ミリオン・ユーロ(約23億8000万円)となっている。

 エヴォニックはドイツの化学関連企業で、ガスプロムはロシアの天然ガス企業である。ドルトムントは国内企業の支援を、シャルケは外国資本の支援を受けている。

 最後にスタジアムの命名権について。ドルトムントは、ドイツの保険会社ジグナル・イドゥナと2012年から2021年まで年間5ミリオン・ユーロ(約7億円)の契約、シャルケは地元のビール醸造企業のヴェルティンスと2015年までの10年契約で年間4.5ミリオン・ユーロ(約6億3000万円)の契約となっている。この金額については両チームとも大差はない。

 これらの4つのデータを見渡してみると、興味深いのはプロ・サッカー部門の人件費にそこまでの差はない、ということだ。しかしわずかにドルトムントが上回っている。そして各項目ではわずかな差でも、売上高全体で見ると12/13シーズンでは100ミリオン・ユーロ(約140億円)近い差が生まれている。

 だからと言って、シャルケがクラブの質としてドルトムントに劣っているという訳ではない。シャルケも本当に魅力的なクラブだ。ルール・ダービーはこれからも熱を帯び続けるに違いない。しかし金銭面での差がブンデスリーガ、そしてCLにおける成績面での差に繋がっているとも言えるのではないだろうか。

 やはりサッカーにお金はつきものなのである。

【了】

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