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白い巨人を追い詰めたドルトムント。その中心にいた絶対的支柱レヴァンドフスキの存在

text by 本田千尋 photo by Kaz Photography , Ryota Harada

「ゲーゲンプレッシング」を機能させたレヴァンドフスキの存在

 24分の先制点が生まれたシーンでは、右サイド深く、最終ラインからCBフリードリヒが勢い良くロングボールを送る。前線のレヴァンドスキの存在が、躊躇うことなくロングボールを打ち込ませたと言えるだろう。

 落ちてきたボールを、ペペはヘッドで後ろへ返す選択をする。ペペにボールが落ちる瞬間、右にいたカルバハルにはロイスが、左にいたイジャラメンディにはグロスクロイツがマークに入る。そして目の前のスペースにはレヴァンドスキの姿があった。

 ペペはバックヘッドをする以外選択肢がない。苦し紛れだった。ロイスがかっさらい、かろうじてカシージャスを交わす。そのまま右足でゴールへと流し込んだ。

 得点シーンとはつまるところ、ゴールを奪ったチームの最もやりたかったことが浮き彫りとなった場面、とも言える。先制点に続き、2点目もドルトムントの狙い通りの展開だった。

 ヨイッチとムヒタリャンがプレスを掛け、左前方のモドリッチという選択肢が消えたセルヒオ・ラモスの右に立つアロンソには、レヴァンドフスキがマークに付いている。パスの供給先は目の前のイジャラメンディに限られた。そしてラモスからボールが送られる否や、キルヒがすかさずプレスを掛ける。

 プレッシャーを感じたイジャラメンディの中途半端なバックパスは、またもロイスがかっさらう。瞬時に攻へと切り替えロイスを追い越したレヴァンドフスキがパスを受けて、シュートを放つ。

 カシージャスの左手に当たったボールはポストに弾かれながら、ロイスが突き刺した。ドルトムント特有のプレッシングが、見事に機能する。そしてその中心にいたのは、レヴァンドフスキだった。

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