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Jリーグ 10年前

ビジョンなき経営方針の陥る罠。債務超過のサッカークラブは募金で本当に救われるのか?

text by 小澤亮太 photo by Asuka Kudo / Football Channel

理解しがたいオフの動きと遠征費

 まず、筆者の立場を明確にしておこう。筆者は「ザスパクサツ群馬というクラブがあること」が何よりも重要であると考えている。それは富山戦で話を聞いたサポーター全員が口を揃えて言っていた「ザスパがなくなったら困る」「週末の楽しみがなくなって欲しくない」という言葉がすべてだ。

 二度とフリューゲルスのようなことは起こしてはいけないし、全国のサッカーファンも見たくないはずだ。J3に降格したとしても、クラブが足下を見直し、再出発できるならば、それでもいいと思っている。この点を留意したうえで、読み進めていただきたい。

 時間をシーズン開幕前まで遡ってみたい。群馬は昨シーズンのチーム得点王、アシスト王である平繁龍一、青木孝太を揃って残留させているが、前者は他チームからオファーがあったようだ(しかも契約が残っており移籍金が発生する)。

 後者に至っては、一度は契約満了により、退団が発表されながらも再契約を結んでいる。もちろん他チームからの補強も行っている。また、開幕戦で群馬はV・ファーレン長崎と対戦したが、ベンチには7人を入れている。

 同じくクラブライセンスの問題に揺れた隣県、栃木県にある栃木SCは「育成型クラブ」への方針変更をし、シーズンオフにサビア、クリスティアーノ、パウリーニョといった主力の外国人選手を放出し、開幕戦はジェフ千葉のホームグラウンドフクダ電子アリーナでの試合だったが、ベンチに入ったのは5人であった。

 オフのマーケットでの動き、遠征費の2つを見ても、クラブが現在のような事態に陥らないように動いていたようにも思えない。クラブが募金のお願いをすることを「恥ずかしい限り」(秋葉監督)という認識を本当に持っているのか疑問に思ってしまう。

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