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実況アナと解説者の“ブレーン”。サッカー中継を支える「データマン」の存在

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

重宝される各国リーグ、クラブの公式サイト。英語能力は必須

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サッカー中継の際に用意される資料

 テレビ画面に映し出されることは無いが、実況&解説者の手元には20枚以上にも及ぶ資料がある。もちろん、実況や解説を務めるのは、人一倍サッカーの知識に長けた人々なので、あくまでも参考程度の資料だ。

 しかし、ひとたびこの資料を読めば、たとえ当該チームの試合を見たことが無くても、そのクラブについて創設の歴史から最新の情報、戦術までをも知ることが出来るのである。

 資料の作成に当たって何が大変かというと、まず言語の壁にぶち当たってしまう。暗黙の了解として、このデータ資料を作成するにあたってウィキペディアを利用することは御法度だ。なぜならば、ウィキペディアには豊富な情報が存在するが不特定多数の人々が編集可能なため信憑性に欠けるからだ。

 もしも間違った情報を載せてしまい、それをアナウンサーが伝えてしまえば、そのアナウンサーの信用問題に関わってしまう。そのため、全てオフィシャルの情報や現地メディアのニュースを収集することが求められる。よって、最低でも英語能力は必須となる。

 資料の作成に重宝するサイトがいくつかある。まず、各国協会やリーグ、クラブの公式サイトは必ずチェックする必要があるだろう。プレミアリーグは英語のみで収集が可能だし、リーグやクラブ側が詳細なデータやニュースを発信してくれている。

 現地の報道を収集する際には「スカイ・スポーツ」や「デイリー・テレグラフ」といった日本でもおなじみのメディアをチェックする。特にプレミアリーグに関してはニュースだけではなく、対戦カードごとのプレビューや、達成される記録、監督・選手個人VSチームといったデータまでも知ることが出来る。

 さらにブンデスリーガには日本語の公式ページが存在し、ドイツメディアのkicker誌は日本語のサイトも運営している。これには本当に助けられており、心から感謝したい気持ちだ。

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