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実況アナと解説者の“ブレーン”。サッカー中継を支える「データマン」の存在

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

クオリティーの高い中継が日本サッカーの競技レベル向上につながる

 そして何より、コートジボワールやコロンビアのスポーツ新聞やサッカーサイトなどにどういった会社が存在するのか、さすがに知識が無い。さらに、複数の公用語を使用する国や、他国の言語を公用語とする国は検索することもままならない。そのため、様々な知恵を駆使して探し出す必要がある。

 さらに厄介なのは昨今の欧州を中心とした海外メディアで流行の兆しを見せている「動画ニュース」の存在である。

 これは、記者会見はもとより試合への意気込みを聞く囲み取材など、日本ではまだまだ文章で伝えられている情報が動画で掲載されているものだ。例えばハンガリー語でボソボソと話す様子を見ていても、まるで呪文を唱えているかのように聴こえてくる…。

 しかも代表戦は直前の選手入れ替えや突然の若手抜擢など不測の事態が多数発生する。時差の関係で日本時間では真夜中に発表されることも多々ある。締め切り前日は徹夜での作業となるのだ。

 とは言え中継でアナウンサーがデータマンからの情報を伝えてくれれば、非常に嬉しい気持ちになる。各国のニュースサイトには、日本のサッカーサイト等では伝えられていない面白い情報がゴロゴロと転がっている。

 この情報によってアナウンサーと解説者の会話が二重三重にも膨らめば、大きな達成感を得られる。さらに、当該試合のバックグラウンドを深く知るため、観戦をより一層楽しむことも出来る。

 日々のサッカー中継をより深く、よりクオリティーの高いものにするために多くの人々が奮闘している。さらに、レベルの高い中継をお送りすることでサッカーファンの目を養い、延いては日本サッカーの競技レベルの向上につながると信じているのだ。

【了】

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