セードルフからの絶大な信頼感の証左だが――。故障明けの本田を強行出場させた“急造監督”の限界

ローマ戦でのパフォーマンスを酷評された本田圭佑。故障明けということで情状酌量の余地は多いにあるが、反省点が多いのも事実。しかし、なぜそこまでセードルフは本田にこだわったのか。やはりそこには監督の手腕の限界があった。

2014年04月28日(Mon)7時30分配信

text by 神尾光臣 photo Kazhito Yamada / Kaz Photography
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サイドで振り回された本田

セードルフからの絶大な信頼感の証左だが――。故障明けの本田を強行出場させた“急造監督”の限界
ローマ戦でのパフォーマンスを酷評された本田圭佑【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 試合に勝って「救世主」ともてはやされた選手が、次の試合で低調ならば「戦犯」と批判されるのは、この世界の常である。ジェノア戦でのゴール一つで「右サイドのプレーを理解し始めた」と評価されたはずの本田は、ローマ戦ののちにまた酷評にさらされた。

「装甲戦闘車両にオート三輪で特攻をかけるカミカゼ」

 26日のガゼッタ・デッロ・スポルトはローマvsミラン戦の選手寸評で、本田のパフォーマンスについてこんなふうに表現していた。原文の“corazzata”はふつう戦艦を差すが、“武装されたもの”という意味なので、広義には戦艦も戦車も含め得る。この場合突っ込んで行くのは『三輪車』なのだから、ここでは装甲車両と訳しておく。

 それにしても、「本田」という苗字をいじってそこまで面白いかと思わないでもないが、特攻隊になぞらえた表現は彼の境遇を良く示していた。サイド攻撃が非常に強力なローマが相手で、戦術によるサポートも十分ではなく、何より本人が故障上がりにも関わらず守備の奔走を強いられた。圧倒的に不利な状態で、犠牲を強いられたのである。

 4-3-3を敷くローマは、サイドアタックをチーム戦術の柱としている。それを抑えるためにセードルフ監督が下した決断は、守備時には4-4-2気味に2ラインを維持する今までのシステムを踏襲することだった。

 この守備戦術がある程度チームに安定を与え、5連勝という結果をもたらしたのは事実である。そして右サイドを守る上では、地元メディアが予想に上げていたポーリより、本田を起用することが適当だろうとセードルフは判断したのだ。

 だが本田は翻弄された。ウイング、サイドバック、そして左MFが連動し、自由にポジションを入れ替え攻めて来る。かつ中盤の3人のテクニックが高い上に、トッティが前線からパス回しに加わるため、展開のスピードが速く相手には捕まえにくい。そして本田は、サイドで形成された数的不利の中で振り回された。

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