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セリエA 10年前

一時はセリエAを席巻したが――。かつては中田英寿が活躍、知られざるペルージャの今

text by 神尾光臣 photo by Mitsuomi Kamio

育成の強化を重視。日本のスクール運営も継続

一時はセリエAを席巻したが――。かつては中田英寿が活躍、知られざるペルージャの今
カンプローネ監督【写真:神尾光臣】

 もう一つ、今のペルージャが力を入れていることがある。それは育成部門の整備だ。トップチームの練習中、若手選手よりもさらに若い少年達も敷地内で練習を積んでいた。

 トップチームと共用の人工芝グラウンドをはじめ、これらの練習施設には新しく整備された跡がある。付き添いの両親もかなりの数が観にきており、解放されているバールにはトップチームの選手も訪れるという。

「クラブの成長において、育成部門は基礎中の基礎となるべきものだ。地域に還元するという意味でも、育成部門の環境整備にはかなり資金をつぎ込んだ」とサントバードレ会長は語る。

 さらに、実務面を統括するマウロ・ルカリーニGMは、「これを見てくれないか」とPCを開けて解説をしてくれた。そこには育成部門の日本支部というべきペルージャカルチョジャパン・サッカースクールの公式HPが映っていた。

 2009年、前経営陣が設立したこの事業を、重要なものと看做し引き継いでいたのだ。以前ペルージャのセカンドチームでもプレーしていた日本人コーチとも綿密に情報交換をし、エキップメントの提供、そしてサッカーツアーも企画している。

「育成の強化は、我々のプロジェクトの本流をなしているものだ。トップチームの成績には振り幅があるが、育成部門の強化はこれからもコンスタントに続けて行かなければならない。

 現在我々がいるこの地域を大事にし、地域の若者たちにとっての価値を高めて行くためには、やはり育成部門の強化と整備が必要だ」

 もともと育成部門に明るかったというルカリーニGMは、育成についての哲学を述べた。選手を転売して利益を出そうというよりは、育成というものをもっと純粋に考えている。

「我々が目標に掲げたのは、まず選手の人間性を高めること。そしてゆくゆくは他クラブに買ってもらえれば良いし、育成部門の中から我々の将来を担う生え抜きの人材も出てくるようになれば最高だ。私は素直にそう思っているよ」

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