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香川真司 10年前

低迷するマンUの最大の“被害者”は香川。最終節もボランチ、トップ下起用少なく憂鬱な一年過ごす

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

本来のポジションで起用されず。失態続きのチームで最も被害を受けた香川

 ギグス暫定監督がどのような意図を持って香川を2試合続けてボランチで起用したかは分からないが、恐らくこれまで練習でも十分な時間を費やしていないポジションでのプレーとなれば難しくなるのは致し方ないことだ。

 本来のポジションであるトップ下やセカンドストライカーの位置では全く起用してもらえず、モイーズ体制ではほとんどがウイング。それでも終盤に入るとウイングの位置にも適応し、自らの能力を示す場面も多くなっていた。しかし、ギグス体制に変わると、初戦を除いてボランチに変更された。

 もちろん、監督の起用する位置で力を発揮出来ないことも、18試合(先発13試合)の出場で得点を挙げることが出来なかったことも自らの責任ではある。

 しかし、そもそもユナイテッドへの移籍交渉の際にファーガソン監督は、トップ下での起用を約束していたはずだった。香川にしてみれば“話が違う”とクラブへ不満をぶつけてもおかしくはない状況だ。

 これは他クラブでもよくある話だ。実際、パリ・サンジェルマンのエディンソン・カバーニはセンターフォワードではなく、右ウイングで起用されていることへの不満を公にしている。

 その意味でもファーガソンからモイーズ→ギグスと監督が変わり低迷した今シーズンのユナイテッドにおいて、最も被害を受けた選手は香川だったと言えるだろう。結局、ギグス体制では2列目でフアン・マタと並んで起用されることはなかった。

 これまでのキャリアで最も憂鬱なシーズンを過ごした香川だが、約1ヶ月後に迫ったW杯で鬱憤を晴らす活躍に期待したい。そして来シーズンはユナイテッドなのか新天地なのか、いずれにしても日本中のサッカーファンに鳥肌を立たせたドルトムント時代の姿を再び見せてほしい。

【了】

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