押し付けがましい演出を押し通したTBS
ポルトガルVSアメリカのライブ中継で「クリスチャーノ」と、ファーストネームで呼ばれ続けたクリスティアーノ・ロナウド。「クリスティアーノ・ロナウド」では長すぎるし、「ロナウド」は別にいるから「クリスチャーノ」なのだろうか。【写真:Getty Images】
で、その、不機嫌な視点で、W杯を見ているわけなのだが、ゲームについては、さしたる問題は感じない。
実況のアナウンサーが不器用でも、解説のしゃべりが趣味に合わなくても、画面の中で繰り広げられているサッカーがすべてを救ってくれる。だから、よほどのことが無い限り、私はテレビに対して怒ったりしない。
強いてあげるなら、ポルトガルVSアメリカ戦の実況を担当した、TBSの佐藤文康アナが、クリスティアーノ・ロナウドのことを「クリスチャーノ」と呼ぶのが神経にさわったことぐらいだろうか。
「おいおい、ピッチの上の選手をファーストネームで呼ぶのは失礼だぞ」
「クリロナがクリスチャーノなら、ルーニーはウェインで、ベンゼマはカリムなのか? 本田は圭佑なのか?」
しかしながら、どうやらあの呼び方は、彼のせいではない。局の上の方の誰かが「クリスチャーノ」と呼ぶように指示していたのだと思う。
なぜそれがわかったのかというと、後日、TBS制作のデイリーハイライトを見たら、別のアナウンサーも「クリスチャーノ」と呼んでいたからだ。
TBSには、昔からそういうところがある。変なところで他局とは違う独自性を出そうとするのだ。
だから、実況の画面でも「負ければ敗退 C.ロナウド背水の戦い」というテロップを試合の間中、出しっぱなしにしていたりする。
ブラジルVSチリ戦でも同様だ。TBSは、最後まで画面上の解説テロップを消さなかった。こういう押し付けがましい演出を押し通すのは、昨今では、この局だけだ。
おそらく、局の人間はこれを「サービス」ないしは、わかりやすくするための工夫だ、ぐらいに考えている。
でもたとえば、ポルトガルVSアメリカ戦を、「C.ロナウド」の視点ばかりで伝えるのは、ほかの出場選手に失礼だし、なによりアメリカのファンや選手に対して無作法すぎる。