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アジア 10年前

“タイの至宝”がリーガ・エスパニョーラに挑戦。昨季残留を果たしたアルメリアでタイ人選手の扉を開くか

text by 長沢正博 photo by Masahiro Nagasawa

遠慮深いタイの国民性。チームに溶け込めるかが活躍のカギ

 タイのタクシン元首相がイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティの会長を務めていた時期に同チームに加入したことがある。昨年もシーズンオフにアトレティコ・マドリーの練習に参加した。

 2011年からチョンブリFCのGKコーチを務めている加藤好男氏は「タイではNo.1で、Jリーグでも十分できる選手。実力的には(通用する可能性は)十分ある」と語る。

 一方で、「タイ人は遠慮深い国民性もある。本人の性格的に海外ですんなり溶け込んで、アピールすることができるのかというのは興味がある。環境に順応できれば十分やれる」とも話す。

 過去、日本人では大久保嘉人(川崎フロンターレ)や中村俊輔(横浜F・マリノス)らも挑戦し、決して成功したとは言い切れないスペインの1部に、タイからいきなり挑戦するというのは、いささかハードルが高すぎるという感覚は否めない。

 彼自身、近年のタイ代表の不振もあって、東南アジア圏以外の大会で大きな活躍をしたわけでもない。ただ、現在のタイ人選手の中で、最も海外で成功する可能性を持っているのは彼であることは間違いない。

 海外で活躍したタイ人選手となると、日本の松下でプレーして、日本でも知られているヴィタヤ氏や、韓国でKリーグ初期に活躍したFWピヤポン氏があがるくらいで数は限られる。

 テラシルがタイ人選手にとって大きな扉を開くことができるのか。タイと言えばプレミアリーグの人気が断トツだが、今年はスペインリーグの動向を気にするサッカーファンも増えそうだ。

【了】

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