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【独占インタビュー】アルゼンチンサッカー協会グロンドーナ会長「私が日本のコパ・アメリカ辞退に反対した理由」

text by 藤坂ガルシア千鶴 photo by Javier Garcia Martino

(日本は)相手ゴールを目前にした瞬間に萎縮してしまうように感じられる

――アルゼンチンの国営通信社TELAMが伝えたところによると、南米サッカー連盟のデルーカ事務局長は、日本がコパに参加しないと組織委員会は経済的な影響を受けると話したそうですが、実際にそうなのでしょうか? 日本でも、テレビの放映権についての問題が取り上げられているのですが。

「コパ・アメリカの放映権は、87年以来、ブラジルのスポーツマーケティング会社『TRAFFIC』(トラフィック)が握っており、今回も彼らが各国との交渉を担ったので私にはわからない。ただ日本のテレビ局は、たとえ日本代表が参加しなくとも過去のコパでは放映権を買い取っている(前回までは日本テレビが放映権を獲得していた)。

 日本代表が出場するかどうかで、運営面で大きな影響が出るということはないだろう。考えてごらん。南米サッカー連盟のレオス会長は、最初に日本代表辞退の意思を告げられたとき、惜しみながらもその決意を尊重し、すぐ代替国探しに取り掛かった。組織側としては、余裕を持って十分な準備を進めるためにも、参加国を早めに決めてしまう方が好都合なのだ。

 だが今回のケースは特別だった。何が特別だったのかは、今まで話したとおり。このような時だからこそ、日本の皆さんに南米諸国の支援を感じ取ってもらい、母国の代表のプレーを見て勇気付けられる機会を作りたかったのだ。

 更に、日本のサッカーは南米のファンにとっては非常に新鮮なもの。つまり日本代表が参加することで、大会の魅力が一段と増すことは確実であることから、不参加になった場合はそのチャンスを失ってしまうだろう」

――その日本代表はアジア王者になりましたが、これから世界の強豪の仲間入りを目指すため、具体的にどのようなところを改善すべきだと思いますか?

「昨年のW杯で見せたハイレベルなパフォーマンスと、今年初めに獲得したアジア王者のタイトルで、日本はすでに世界の強豪の仲間入りを果たしたようなもの。ただ、日本の選手たちはテクニックに優れ、スピードもあり、運動神経も良いが、サッカーは得点を入れなければ勝てない。

 私は過去に何度も日本代表の試合を見たが、ピッチで素晴らしいプレーを見せる巧い選手でも、エリア内に入って相手ゴールを目前にした瞬間に萎縮してしまうように感じられる。エリア内で胸を張り、迷わず冷静に正確なシュートを打てるようになれば、日本は今よりももっともっと強いチームになるだろう」

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