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アジア 10年前

ラオスリーグ得点王の日本人、本間和生。ハンガリーでもまれた“東欧のサムライ”、特異な環境が日本人離れのプレーを育む

text by 本多辰成 photo by Tatsunari Honda , Toyota FC

さらに広がる日本人選手のアジア進出

ラオスリーグ得点王の日本人、本間和生。ハンガリーでもまれた“東欧のサムライ”、特異な環境が日本人離れのプレーを育む
ラオス・プレミアリーグでプレーする日本人は来季以降も増えそうな気配だ【写真提供:ラオ・トヨタFC】

 昨シーズンに開幕し、今季初めて日本人選手が参戦したラオス・プレミアリーグ。リーグの開催期間は短く今のところ試合観戦も無料であることなどからも、まだまだプロリーグとしては未熟であるのは明らかだ。

 とはいえ、大量の日本人選手がプレーする国となったタイの隣国であること、タイで活動する日本人エージェントの目もラオスを捉えはじめたことなどから、ラオス・プレミアリーグでプレーする日本人は来季以降も増えそうな気配だ。

 本間も一シーズンを過ごした上で、そう感じている。

「7月末でシーズンが終わるということを聞いて、最初はびっくりしました。そんなに早く終わっちゃうの、と。でも、海外でやりたいという日本人はゴマンといますから、特にネックにはならないと思う。来季はたぶん、すごい人数が押し寄せてくる気がしますね」

 タイのブリーラム・ユナイテッドで活躍した平野甲斐がセレッソ大阪へ移籍した例が示すように、アジアと日本のマーケットがつながりはじめた今。サッカー界における「海外」の意味は、今後ますます多様化していくことになるだろう。

「国は問題じゃないと思いますよ。どこに行っても大変だし、もちろんラオスも難しい。よく若い選手から『海外、興味あるんですけど』と聞かれるんですが、『行け、行け』といつも言っています。当たり前のことが当たり前じゃない環境になった時、人間は磨かれるし、ダメなやつは自然に帰ってきますからね」

 たとえ格下の国であっても、そこでプレーする選手一人ひとりに蓄積される経験は貴重でかけがえがない。この先、本間のような“日本人らしくない”選手が、日本サッカーのいいアクセントとなる可能性も十分にあるだろう。

 本間の活躍はラオスにおける日本人選手の価値を高めただけでなく、日本サッカーの「アジア進出」のさらなる広がりと可能性を予感させてくれる。

【了】

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