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マンUが失った大切なもの。指揮官に求められる“勝者のメンタリティー”の再起。香川はシグルズソンの笑顔に何を思う?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

完全に眠った勝者のメンタリティー。香川は出番なく終戦

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ファン・ハール監督には、“勝者のメンタリティー”を呼び起こすことも求められる【写真:Getty Images】

 話をユナイテッドに戻すと、もちろん複数の負傷者は出たことが痛かった。この試合で負傷交代のリンガート→ヤヌザイ以外にファン・ハール監督が切ったカードは、エルナンデス→ナニ、エレーラ→フェライニだった。

 ベンチメンバーを見ると、途中出場の3人の他にはGKのベン・エイモス、DFのマイケル・キーンとリース・ジェームズ、残る1人は香川だった。ナニとフェライニという「戦力外」と報じられた選手を出さざるを得ない状況に陥ってしまった。

 しかし、無名の若手が出ようと、内容が最悪だろうと最後に勝ち点3をもぎ取るのがファーガソン時代のユナイテッドだった。

 終盤のパワープレーという選択肢は、あの状況では当然だ。フェライニの落としからヤヌザイが放ったシュートがルーニーに当たらなければ成功していた。

 恐らく、かつてのユナイテッドならあの状況に限らず点が入っていた可能性も高く、ブラジルW杯のオランダ代表は、ベスト16のメキシコ戦でパワープレーから劇的な逆転勝利を遂げている。つまり、“勝者のメンタリティー”を持ったチームだった。

 ファン・ハール監督には、システムや戦術の浸透のみならず、昨シーズンの1年間で完全に眠ってしまったこのメンタリティーを呼び起こすことも求められるだろう。

 そして、香川真司の現状は交代カードの切り方を見ても明らかだ。サッカー以外のあらゆる部分でしがらみがあるのかもしれないが、自らのキャリアのためにも主張すべきときは主張するべきだと思う。中堅クラブへのレンタルも恥ずかしいことではない。

 この日、最高の笑顔を見せたシグルズソンの姿を見て何を思ったのだろうか?

【了】

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