フットボールチャンネル

マンUが失った大切なもの。指揮官に求められる“勝者のメンタリティー”の再起。香川はシグルズソンの笑顔に何を思う?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

新チームのファーストゴールは新主将

20140817_action
アクション・エリアを見ても右サイドが13.11%だったのに対して左サイドは4.92%と大きな差がついている

 もちろんヤヌザイだけではなく、新加入のエレーラはプレミア特有の当たりの強さに苦戦。リーガ・エスパニョーラやプレシーズンのカップ戦「インターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)」で見せた創造性のあるプレーを披露することは出来なかった。

 さらに、ICCで昨シーズンとは見違えるパフォーマンスを披露したヤングは、スウォンジーのマークに苦しんで効果的なプレーが出来なかった。前半のクロス本数は、わずか24分間のプレーに留まったリンガートと同じ3回。

 プレーエリアを示すヒートマップを見ると、リンガートとヤヌザイが敵陣を濃く染める一方で、ヤングは自陣に押さえ込まれていたことが分かる。さらに、プレーエリアを数値化したアクション・エリアを見ても右サイドが13.11%だったのに対して左サイドは4.92%と大きな差がついている。

 ただ、3-4-1-2という特殊なフォーメーションを取り入れ、選手に浸透させるためにある程度固定したメンバーでプレシーズンを戦っていただけに、相手に研究される可能性が高いことは織り込み済みなはず。ファン・ハール監督は、研究されること以上にチームに戦術を染み込ませることを選んだのだろう。

 後半からは、エルナンデスに代えてナニを投入。多くの選手が慣れ親しんでいる4-2-3-1に変更した。プレシーズンでは3-4-1-2を一貫して使用していたが、それはあくまでもプレシーズンだったから。公式戦では状況に応じて柔軟に対応していくのだろう。

GK:デ・ヘア
CB:スモーリング、ブラケット
SB:(右)ジョーンズ、(左)ヤング
CH:フレッチャー、エレーラ
WG:(右)リンガート、(左)ナニ
トップ下:マタ
FW:ルーニー

 そして、後半開始からわずか8分、ルーニーのバイシクルシュートで試合を振り出しに戻した。新たに生まれかわったチームのファーストゴールが新たに主将に任命された背番号10というのはポジティブなことだ。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top