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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第9回 松澤香輝(早稲田大4年)

歯科矯正でプレーにも好影響。筋トレでパントキックが武器に

「昔の自分はネガティブで、ミスをしたらとことん落ち込んでいました。自分に自信がなかったんでしょうね。たとえば、歯並びの悪さもそう。恥ずかしい話ですけど、それがコンプレックスで人前でおおっぴらに笑えなかったんです」

 大学進学を契機に、歯科矯正に取り組んだ。おかげで大口をあけて笑えるようになり、表情筋を活発に使うようになったせいか顔の輪郭もシャープになった。

 むろん、歯のかみ合わせを改善したのは、プレーにも好影響を与えた。小学生の頃、「どうせブサイクだよ。できるものならすぐに整形したい」と、年齢のわりには突き抜けた諧謔を弄して周囲の爆笑をさらっていたが、現在、少年は大人になり、じつに精悍な、いい面構えになっている。

 筋トレにも取り組み、身体つきはみるみるうちに逞しくなった。パワーが格段に増し、パントキックは天に抜けそうなほど高く飛ぶ。

「キックは練習したなんてもんじゃありません。連日連夜、グラウンドの照明が消えるまで蹴りつづけました。高校まではプレースキックが全然飛ばなくて、ハーフウェイラインを越えなかった。いまでは自分の強みになっています。

 ただし、プロのレベルでも強みと言えるかどうかは別ですね。目標とするのは、楢崎正剛選手(名古屋グランパス)と権田修一選手(FC東京)。総合力の高いGKが理想ですが、それだけでは通用しないでしょうからさらに磨きをかけていくつもりです」

 僕は松澤に対し、心身ともにだんだん強くなってきた人なのだという印象を深める。異なる環境で揉まれたほうがいいと、外部に託した東京ヴェルディの指導者の見立ては正しかった。

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