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代表 10年前

バルサデビューから1週間でA代表へ。スペイン中が期待を寄せる新星ムニルのシンデレラストーリー

ムニル・エル・ハダディというバルセロナの若手選手に注目が集まっている。現在19歳のムニルは9月にバルサのトップチームでデビューしたばかりだが、なんとスペイン代表にも招集された。モロッコにルーツを持つ、スペインの新星に迫った。

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta

ムニルとは何者か?

バルサデビューから1週間でA代表へ。スペイン中が期待を寄せる新星ムニルのシンデレラストーリー
ムニル・エル・ハダディ【写真:Rafa Huerta】

 FCバルセロナがマシアで育てているフベニルカテゴリーのムニル・エル・ハダディ(1995年生まれ)が、負傷したジエゴ・コスタの代わりとしてスペインA代表に急遽、追加召集されたとあって、日々のスポーツニュースを賑わせている。

 名前からも簡単に推測できるように、モロッコの血が入っている。ムニルの父親はモロッコの出身だが、母親はスペイン人、ムニル本人もスペイン生まれだ。スペインは、ヨーロッパの中でもアフリカ大陸に最も近いという地形図もあり、モロッコからの移民が社会問題にもなっている。

 パテラ船と呼ばれる粗末な小舟で海を渡ってやってくる最中に、命を落とす者も少なくない。ムニルの父親は、実際にそうやってスペインまでたどり着いたうちの一人だった。そのような決して楽な生活とは言えない中で、早くから息子ムニルの才能に気付き、モロッコ、スペインのサッカー関係者に声をかけ、息子がキャリアを順調に進められるように努力してきた。

 バルセロナに来たのは16歳の時だが、もともと、マドリー郊外のエル・エスコリアル市に住んでいたこともあり、バルサに来る前にはアトレティコ・マドリーのユースとしてプレーしたこともあった。

 当時、ムニルが在籍していたマドリーのクラブ、ラヨ・マハダオンダがアトレティコと契約を結んでいたためだが、そのチャンスがありながらもアトレティコはムニルに正式なオファーを出すことはなかった。

 レアル・マドリーも関心をもったが、クラブの宿泊施設を提供することには、難色を示した。その他にも、オサスナ、ヘタフェ、ラージョ・バジェカーノ、マンチェスター・シティなどが当時15歳だったムニルに興味を示したものの、サッカー以外に住まい、勉学など全面的に支援すると約束したバルサが最終的に選ばれたのである。

 当時から、憧れている選手に“素晴らしいメッシ”と答えていたムニルなので、そういった憧憬も念頭にあったかもしれない。

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