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代表 10年前

地の底に堕ちた母国に一筋の光が――。EURO出場を目指すイングランド、未来は19歳スターリングと共に

text by 山中忍 photo by Getty Images

スターリングの力が存分に発揮されるシステム

 そのダイアモンドがスイス戦で輝いたとまで言うつもりはない。チャンスメイクでは、敵のシェルダン・シャキリがスターリング以上に目を引いた。左サイドのファビアン・デルフは、初先発という事情を考慮すれば合格点という程度の出来。

 逆サイドで起用されたジョーダン・ヘンダーソンの代わりに中盤の底に入ったジャック・ウィルシャーは、攻守両面のプレーの質で相手のギョクハン・インレルに劣っていた。

 しかしながら、スターリングという新時代の旗手を生かすシステムになっていたことが周囲の期待を高めた。前世代のイングランドはキーマンを生かし切ったとは言い難い。黄金世代の中でも最高と言われたスティーブン・ジェラードには、本人が「墓場」と呼んでいた左サイドに回された時期がある。

 中央が定位置となった後でも、フランク・ランパードとの共存の可否が両者の代表引退まで論じられた。次世代への橋渡し役として残っているルーニーも、今夏のW杯で左サイド起用の是非が争点となった。

 その点、スイス戦では2トップのルーニーとウェルベックがアウトサイドに開くことで、スターリング自慢の突破力を中央で発揮させるなど、新キーマンの特長を最大限に引き出す意識が窺えた。頻繁にプレーに絡んだ当人は、昨季のリヴァプールで開眼したラストパス能力を発揮して先制ゴールをアシスト。トップ下に抜擢したロイ・ホジソン監督の期待に応えている。

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