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長友佑都 10年前

守備面での安定感が光る長友、サッスオーロ戦7-0圧勝に貢献。地元紙も高評価で指揮官の信頼も掴む

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

過密日程による故障が不安。慎重なコンディショニングがカギ

守備面での安定感が光る長友、サッスオーロ戦7-0圧勝に貢献。地元紙も高評価で指揮官の信頼も掴む
長友は常に裏のスペースへポジションを取り、ドリブルで飛び込ませるスペース自体を丁寧に潰した【写真:Getty Images】

 長友はこれを、破綻なくこなした。強気のドリブルが魅力のサンソーネはビッグクラブ相手に(他ならぬインテルにもだ)何度かゴールを決めている好敵手で、スペースを与えたら致命的になる。それに対し、長友は常に裏のスペースへポジションを取り、ドリブルで飛び込ませるスペース自体を丁寧に潰した。

 一度フェイントで抜かれても、鋭いダッシュですぐに回り込み突破を阻止。サンソーネが敢えて外に開き、カットインするペルーゾを囮にフリーでパスを貰おうとしても、サンソーネへすぐに付いてパスコースを消した。

 もちろん、サンソーネを追い越してくるペルーゾのオーバーラップも許さない。右アウトサイドのスペースをいち早くカバー。特に23分のプレイは圧巻だった。カウンターに出たペルーゾに走り勝ち、ボールを奪うと即座に攻撃参加。コバチッチのパスを受けて正確なクロスを上げるが、相手DFに辛くもクリアされた。

 後半2分、CKからのカウンターでベラルディが放ったスルーパスを悠然とインターセプトし、再逆襲へ繋げたプレイも見事。以前だったら、慌てた対応で抜かれてもおかしくなかったシーンだ。守備ではこれだけの安定感を見せつつ、攻撃のチャンスは少ないながらしっかり高いポジションを取っていたのだから、評価は悪かろうはずはない。

 もっとも、凡庸なビルドアップのミスも昨日は2度あり、そこは悔やまれるところだ。相手がスペースを空けた際には、着実にダメージを与えるだけの勝負強さが、ポジション争いの上でも求められる。

 ただ激しく攻撃に出る一方で、この日に見せた守備での安定感を今後もコンスタントにキープ出来るなら、マッツァーリ監督の信頼は失わないのでないだろうか。

 一方で心配なのは、故障が原因で下がったということだ。本人も認めていたが、過密日程の中で筋肉系のトラブルが出てくるのは今に始まった話ではなかった。チームではELもあり、また来年1月にはアジアカップも絡んでくるであろう代表スケジュールとの兼ね合いという意味においても、慎重なコンディショニングが求められる1年になりそうだ。

【了】

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