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セリエA 9年前

インテル名誉会長モラッティの退任に見る“終わらないカルチョーポリ”。復権への唯一の道は代表者たちの「意思統一」

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

新会長トヒルが受け継いだ競争力不足のチームと莫大な負債

 2つ目の問題は、欧州で戦って勝つために必要な出費を賄うため、ファイナンシャル・フェアプレー導入前の時期にモラッティによって蓄積された負債の存在だ。

 インテルの株式の70%を取得した時点でトヒルが受け継いだのは、高額年俸を受け取る30歳以上の選手で溢れる競争力不足のチームと、2019年までに返済するべき1億8400万ユーロ(約250億円)の負債だった。

 インドネシアの大富豪は、応援していたクラブを買収するという夢を実現させることができたものの、現在は様々な問題を解決する必要に迫られている。

 幸いなことに、彼はイタリアサッカーを愛しているだけではなく、優秀なビジネスマンでもある。イタリアのサッカーがどのように機能するのか、すでによく理解しているようだ。

 インテルのサポーターがモラッティを失った喪失感を覚えている中で、アニェッリに対するトヒルからの公式回答は遠慮のないものだった。

「FCインテルナツィオナーレは、事実を捏造して歴史の流れを変えようとするアニェッリ会長の度重なる試みに対して行動を起こす。残念ながら彼とイタリアサッカー界全体にとって2006年は悲劇的な年となったが、その年のスクデットはFIGCから正当にインテルへと与えられたものだ。

 ユベントスはその名声とともにセリエBへと降格することになった。これが事実だ。我々は誰に対してもこの事実を歪曲することも忘却することも許しはしない」

 この声明には大きく抜け落ちている部分がある。実際のところ2006年は、「イタリアサッカー界全体」にとって悲劇的だったわけではない。代表チームはこの年に4度目のW杯制覇を成し遂げているのだ。

 だがこの失念は別としても、なかなか結果が出ていない今の時期に、「インテリズモ」を第一にすることが必要だとトヒルが理解している様子を読み取るのは肝要だ。ピッチ上で勝利を得ることが難しい時期にも、ブランドとしてのインテルは生き残ることができるし、生き残らなければならないということだ。

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