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レアルの“豪腕”ペレス会長、次なる戦略は「アブダビ・ベルナベウ」。重視すべきは伝統か財政か…現地ファンも賛否

text by 編集部 photo by Getty Images

不平等な土地交換。“豪腕”ペレス会長が推し進める

 スペイン紙『エル・パイス』によると、マドリーは新ショッピングモールとホテルを建設する土地を手に入れるために6858平方メートルの旧ショッピングモールと、クラブが所有している下町カラバンチェルにある5577平方メートルの土地を引き渡し、更に660万ユーロ(約9億2400万円)を現金で支払ったという。

 ペレス会長が目論む1万2250平方メートルの新ショッピングモール予定地とマドリーが引き渡す計1万2435平方メートルの土地は一見、同等の土地交換のように思われるが、実情は全く別。理由は土地の価値に大きな差があるからだ。

 マドリーが土地を所有しているカラバンチェルは、地価の安い下町であり、手中に収めようとしているベルナベウ付近の土地は大都市マドリーでも有数の一等地で旧ショッピングモールの土地と660万ユーロを加えても埋まらない差がある。

 欧州委員会はサッカーチームへの公的付与を固く禁じている。これに対してスペイン環境保護団体『エコロヒスタス・エン・アクシオン』は、価値が全く違う土地の交換は市役所のクラブへの公的付与とみなし6月の初旬にスペイン高等裁判所に訴え、7月31日には一時的工事中止の判決が下された。

 また、同団体はクラブ自体に対して恨みは無く、訴えているのはクラブが行うサッカーとは関係のない、街にも市民にも利益をもたらさない不動産事業であるとしている。

 しかし、ペレス会長はその不動産業で財をなした超がつく敏腕実業家。判決が取り下げられるのは時間の問題と見られており、サンチャゴ・ベルナベウの大改修&名称変更は既定路線となっている。

 そして、『マルカ』の元編集長インダ氏曰く、スタジアムの名前は「アブダビ・ベルナベウ」に変わるという。また、スタジアムの名称変更についての合意は工事中止の判決が取り下げられた時に公式発表されるとも語った。

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