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【独占取材】マルディーニは本田への評価を変えたのか?「昨季から模範的だが、リーダーではない」

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

「現在のミランで最も優れているDFはボネーラ」

――勝ち点17の7位は、CL出場権であるリーグ3位(第11節終了時=ナポリ)に僅か「-4ポイント」差でしかなく、得点力に限れば首位ユベントスに次ぐ2位。一方で、11試合で失点は実に16。守備のあり方こそが最も急ぎ改善されるべき点なのだろうか。

「いや、この部分について私の考えは他の多くと異なる。その理由については後ほど触れるとして、まずはひとつの前提とすべき点を改めて確認しておきたいと思う。

 それは、例の『技術的な限界』について。ここで私が言う『限界』は、あくまでも現在のミランに超一流と呼ぶに価する選手が1人として存在しないことを指すわけだが、ならば必然的に勝つべき試合においても勝てる確率は低くならざるを得ない、と。そして、この『技術的な限界』はすべてのポジションについて言える。もちろん守備陣という単体でもそう。

 かつて強かった当時のミランが欧州で屈指の“攻撃的”なチームであったと言われる事実は、もちろん、FWたちが“後ろ”に気を使うことなく、言ってみれば心置きなく攻撃に専念できたことの証だった。高いレベルの攻撃を可能にするには一流のディフェンダーと、その彼らが形成する堅く強靭な守備組織を備えていなければならない。当然の論理だ。

 そして、それは何も私やフランコ(・バレージ)が現役だった当時に限る話ではない。わずか数年前のミランにも当て嵌まる。その僅か数年前、ミランの最終ライン中央にいたのは、“あのアレッサンドロ・ネスタ”と、“あのチアゴ・シウバ”だ。このCB2人の実力を今にして私から説明する必要などないだろう。

 だが周知の通り、今日のミランは違う。あの2人のレベルにある選手は現有メンバーに存在しない。現在のミランで最も優れているDFはボネーラ。どう周りが非難しようともその実力を私は評価する。他でもない、“最もサッカーを知るサッカー選手”だからだ。

 もちろん、ここで私の言う“サッカーを知る”とは、主として(局面ごとに)ピッチ上で“どこにいるべきかを知る選手”を指すわけだが、とはいえ、その総合力という意味でのレベルとネスタのそれは、致し方ない、やはり大きく異なると言わざるを得ないのだろう。

 その上で、ここで最初の話に戻って『他の多くと異なる』私の見解を述べたいんだが、質問にあった『11試合で16失点』について、誰もが今日のミランが抱える最大の問題が“守備組織”の惰弱さにあると考えるわけだが、私はそうは思わない。

 問題は、あくまでも現ミランの“攻撃陣”に、より正確を期して言えば、その“攻撃の手法”にある」

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