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【独占取材】マルディーニは本田への評価を変えたのか?「昨季から模範的だが、リーダーではない」

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

「今季のミランは、『一発で試合を決める“超一流”』を擁していない」

「もう私が何を言わんとしているかは分かるはずだ。そう、仮に16失点という数字があるとしても、かといって今季のミラン守備陣そのものが何か特別な弱点を露呈しているかと言えばそうではない。

 確かに、個々人にみる集中力の欠如はある。故障も少なくはない。平凡を極める個人の技術的なミスもある。だが、では例の16失点がチーム全体としての守備組織の綻びに起因するかと言えば、必ずしもそうとは言えないはずだ。

 つまり、最も重要なポイントは、今はまだ“歪”とさえ言える攻撃の形(手法)だ。どう攻撃するか。ここに最大の課題がある。そして、この部分に目を向けると、先ほど触れた“超一流の不在”が改めて浮き彫りになる。

 今季のミランは、とりわけ守備に力点を置くチームを相手にする場合、いわゆる『1プレーで試合の流れを変える』、あるいは『一発で試合を決める“超一流”』を擁していないがために、どうしても監督は多くの人数を前線に配すことを強いられ、それが時として過度になり、ならば半ば必然的にチームは著しくバランスを崩す。

 バランスが崩れれば、言わずもがな、守備陣の負担は増す以外にない。この悪循環こそが急ぎ解消されなければならない。

 いかに手数をかけ丁寧な組み立てで敵陣に入ろうとも、その攻撃(組み立て)の流れを完結させる、たとえばズラタン(・イブラヒモビッチ)のような実力を持つFWが今のミランにはいない。いわゆる“本物のFW”がいない。

 現在のミランには、スペースをつくことでカウンターで活きる選手はいるのだが、年間20ゴールを約束できるFWが1人としていない。ならば、やはり、より効率的にして効果的な“攻めの形(手法)”を作り上げ、その精度を高めることで今ある悪い循環を断ち切らなければならない。優れた守備が優れた攻撃を生むとはよく言われるが、もちろん、その逆も然り。良い攻撃が良い守備を生む。この鉄則を忘れてはならない。

 いずれにせよ、現時点を見る限り、今季を終える際にミランが『リーグ最多得点』の座にいることはないだろう。当然、その予想が外れることを私は心から願うのだが……」

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