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“言論の暴力”制圧を目指すスペイン。内包するジレンマ、基準と処分には熟考が不可欠

デポルティボのサポーターが死亡する乱闘事件が発生したスペインでは、スタンドからの罵声、野次に対して処分を下す反暴力規制が発足する。しかし、レアル・マドリーが怒りを表明するなど反発も多い。

text by 山本美智子 photo by Getty Images

反暴力法の発足が加速したサポーター死亡事件

“言論の暴力”制圧を目指すスペイン。内包するジレンマ、基準と処分には熟考が不可欠
サンティアゴ・ベルナベウで行なわれたレアル・マドリー対セルタの試合にて【写真:Getty Images】

 新たな言論の暴力に対する制圧を目指すスペインプロフェッショナルリーグに対し、レアル・マドリーが怒りを表明している。

 ことの発端は、前節サンティアゴ・ベルナベウで行なわれたレアル・マドリー対セルタの試合だ。

 この試合で、レオ・メッシや現在、スペイン国内で独立を目指す動きのあるカタルーニャ州(州都はバルセロナ)に対する侮蔑的発言があったとして、スペインプロフェッショナルリーグは、今後、こういったピッチ上での行為を追っていくことを表明。

 実際、9日はレアル・マドリーのみならず、FCバルセロナ、デポルティボ、ラージョ・バジェカノの4チームを告発し、周囲をあっと言わせた。

 スペインでは、今月15日から新たな反暴力規制が発足する予定であり、発足までの処分は、クラブへの経済措置、つまり罰金のみですむのではないかと見られているが、一部のメディアは、スタジアムの一部の閉鎖など、経済措置以外の処罰を求められる可能性があると指摘している。

 先月の30日にアトレティコ・マドリーとデポルティボのラディカルサポーター総勢200人が試合前から乱闘を起こし、その結果、一人が近くの川に投げ込まれ、低体温、心臓停止となり、病院に搬送されたものの死亡する事件が起きた。

 この事件をきっかけに、反暴力法の発足が一気に加速したわけだが、今回、レアル・マドリーは、そのとばっちりを受けたと感じている。

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