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“言論の暴力”制圧を目指すスペイン。内包するジレンマ、基準と処分には熟考が不可欠

text by 山本美智子 photo by Getty Images

ペレス会長からの推薦だった現リーグ会長

“言論の暴力”制圧を目指すスペイン。内包するジレンマ、基準と処分には熟考が不可欠
スペインプロフェッショナルリーグ会長のハビエル・テバス氏【写真:Getty Images】

 この事件の時、「スペインリーグは中止を決めたが、最終決定ができるスペインサッカー協会の担当者と試合開始まで連絡がとれなかった」ために試合を強行することになったと堂々と発言したのが、スペインプロフェッショナルリーグ会長のハビエル・テバス氏だ。

 このテバス会長が現在の会長職についているのは、レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長からの推薦があったからこそという人事が過去に動いていた事実があるだけに、今回の措置はペレス会長からしてみれば腑に落ちないわけだ。

 ペレス会長は「反暴力法発足前に告発するとは興味深い。彼(テバス会長)は告発すべきだと言える人間ではない」と発言し、更に今回の告発の目的は、「主役の座を手にしたいだけで、レアル・マドリーの名前を出せば、それが与えられるとわかっているから」告発劇をみせているのだと厳しく糾弾している。

 このテバス会長、現在、日本代表監督ハビエル・アギーレ氏も巻き込まれている八百長疑惑を受けて、警察に調査依頼をした張本人であり、個性が強く好き嫌いの別れるタイプの人物と言える。

 とはいえ、今回の件も、結局は暴力の問題だけでは語れず、その裏でスペインリーグとして、クラブとしての利権やイメージ、サッカー界における権力などの問題が絡むから、ややこしくなる。

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