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長友佑都 9年前

インテルに、長友に訪れた正念場。勝利を取り戻すため、マンチーニのハイレベルな要求に応えられるか

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

全体のポジションを狂わせた後半

 そしてこのシステム変更は、サイドバックの動きも変えていた。ミラノダービーで長友は、ドドが上がった時には意識して最終ラインまで下がっていたが(逆も然り)、ウディネーゼ戦は両者ともに高い位置をキープして攻めていた。

 それでいて、バランスも崩れていたわけではない。左はドドが対面のウィドマーに裏を若干取られ気味だったが、右の連動は比較的よく機能。長友はグアリンやコバチッチからタイミングよくパスを引き出し、対面を押し込んでいた。

 守備の面でも、アランに体ごと持って行かれたシーン以外は破綻はなかった。所属クラブではしばらくウイングバックを務めていた長友だが、このまま4バックの右として問題なく定着するのではないかという印象も受けた。

 しかし後半、マンチーニが褒めたはずのバランスは持続しなかった。追加点を取ろうと攻め気になったのか、サイドバックとインサイドMFが一緒に上がってしまい、カバーが薄くなるという局面が増える。

 それは左だけでなく右もまた然りで、13分にはスイッチのミスからパスクアーレを逃してしまい、危ないクロスを上げられている。

 そして乱れを修正できないまま、2分後には左サイドからミドルシュートをねじ込まれて失点。さらにその後はパラシオの致命的なミスパスで逆転を許すわけだが、全体のポジションが狂いまくっており、彼だけの責任ではないとも言える。

 そこからインテルは猛攻をかけるのだが、ことごとくフィニッシュに精度を欠いてゴールはならず。

 この時の長友のプレイも残念だった。フリーでサイドを深く駆け上がってからの右足、また浅い位置から切り返して左足のアーリークロスと工夫は見えたものの、それらを大きくふかしてしまう。スタンドからは怒りのブーイングが起こっていた。

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