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ハレ舞台としての選手権。リーグ戦文化が育った現代だからこそ持つ意味とは?

93回目を迎える伝統行事、高校サッカー選手権大会が12月30日より首都圏で開催される。今回『J論』では、高校サッカーを取材してきた筆者が、それぞれ少し視線と論点を変えながら「高校サッカーの風景」を描いていく。博識の党首・大島和人は、ちょっと大きな視点から「現代の選手権」を語る。リーグ戦文化が広がりつつある今だからこそ見えてきた選手権の価値とはなんだろうか?

text by 大島和人 photo by Kawabata Akihiko

全国津々浦々にサッカーがある時代

ハレ舞台としての選手権。リーグ戦文化が育った現代だからこそ持つ意味とは?
リーグ戦もまた「負けられない戦い」になってきた現代だからこそ、選手権は「チャレンジ」が肝になる【写真:(C)Kawabata Akihiko】

 サッカーが“国民的スポーツ”になった結果として、日本各地から人材が出てくるようになった。アギーレ・ジャパンのメンバーを見れば大分、愛媛、徳島、新潟、宮城、青森、石川と選手の出身地が全国に散らばっている。地域間格差が消えたことで、近年の選手権は盛岡商(岩手)、鵬翔(宮崎)といったダークホースが制したケースもある。県名だけで強弱を判断できなくなった。

 Jリーグ開幕以前は優勝校、地域がかなり偏っていた。帝京は20年間で6度も優勝しているし、そうでない年も静岡、埼玉、長崎といった“定番”が覇権の多くを占めている。力量差のある対戦が多いから、有力校はリスクを避けた“横綱相撲”で大舞台に臨んでいた。しかし高校サッカーの勢力図が変われば、戦い方も変わる。どこか突き抜けた、乗ったチームが覇権を取る――。それが2010年代の高校サッカーではないだろうか。

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