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ランパード契約延長に隠されたシティの“不誠実”。Jリーグも警戒すべき外資参入の危険性

昨年の大晦日、ランパードはマンチェスター・シティとの契約を延長した。単なるシティの戦力強化に思われたこのニュースだが、意外な波紋を呼んでいる。イングランドから遠く離れたアメリカでは怒りの声があがっている。それもそのはず、ランパードはニューヨークのクラブに加入予定だったのだ。事情は複雑だ。

text by ダン・オロウィッツ photo by Getty Images

ランパード加入発表で大いに盛り上がったニューヨーク

 12月31日、マンチェスター・シティとの契約延長が発表されたフランク・ランパード。36歳のベテランにとって“実力の証明”になるとともに、シティファンにとっても嬉しいニュースと言えるものだった。

 しかし、この発表を喜ばない人々もいる。多数のアメリカのサッカーファンやメディアである。

 ランパードは本来、2015年3月からメージャーリーグ・サッカー(MLS)のニューヨーク・シティFC(NYCFC)でプレーを開始する予定だった。

 この“スキャンダル”によってMLS、NYCFC、そしてシティのオーナーであるシティ・フットボール・グループ(CFG)はサポーター、メディアなどの信頼を失ってしまう可能性が出てくる。それは日本サッカーにとって対岸の火事とは言えず、CFGと資本提携した横浜F・マリノスのサポーターも“黄色信号”として警戒すべきことだ。

 始まりは2014年7月24日、ニューヨークで行われた記者会見。ランパードはこの日、NYCFCの選手としてお披露目された。「世界のスポーツの首都で特別なチームを作ることを楽しみにしている」と熱意を見せた。

「彼は類まれなタレントだ。リーダーシップと経験はこういう新しいクラブにピッタリだ」とジェイソン・クレイス監督も太鼓判を与えた。

 この発表で新クラブの認知度は一気に上がり、NYCFCもMLSも注目を集めた。初シーズンの年間チケットも、これまでに約1万2000人分が販売されるなど順調と言っていいスタートだった。

 5月をもって古巣のチェルシーを退団したランパードは2015年3月までコンディションを保つためどこかでプレーしなければいけなかった。そのため、“姉妹クラブ”であるマンチェスター・シティへの“期限付き移籍”が実現した。

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