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武藤のチェルシー移籍は成立するのか? 過去の日本人プレミア移籍の“成功”と“失敗”から考える

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ロンドン五輪で飛躍のきっかけをつかんだサムライ

 現在もサウサンプトンでプレーしている吉田麻也の移籍は一度破談しかけていたと言われている。ロンドン五輪で名を上げた日本代表DFは、大会終盤にコンディションを崩して大きなミスを繰り返し、所属クラブだったオランダのVVVへ帰っても不本意な出来に終始していた。

 それでもCBを欲しがっていたサウサンプトンと吉田の売り時を逃したくなかったVVV、両者の思惑が一致し、移籍市場閉幕間近になって正式に移籍が発表された。

 吉田がイギリスの労働許可証をすんなり取得できたのには理由がある。2010年に日本代表デビューを果たし、翌年のアジアカップから主力として定着してコンスタントにプレーしていたこと、そしてロンドン五輪でベスト4に入ったという実績だ。

 一方で全く実績がない状態でイングランド移籍のチャンスをつかみ取った例もある。2011年、当時中京大中京高校に在籍した宮市亮が名門アーセナルの門を叩いた。

1年目はさすがに労働許可証を取得できなかったため、オランダのフェイエノールトに貸し出されたが、そこで12試合出場3得点というセンセーショナルな活躍を披露し、2011-12シーズン開幕とともにアーセナルへ復帰した。

 宮市の場合、日本代表デビューは期限付き移籍でボルトンに在籍していた2012年で、アーセナル復帰時は招集経験すらなかった。

 しかし、労働許可証を取得するための審査会でアーセン・ヴェンゲル監督が宮市の才能とクラブへの必要性を熱弁し、特例として取得を認めさせたと言われている。

 このように、日本代表としての経験が浅くとも将来性を評価されて労働許可証が発給される場合があり、22歳の武藤にも十分可能性はある。ジョゼ・モウリーニョ監督がそれだけのアピールをすればだが。

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