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30年来の盟友が語るハリルホジッチの知られざる素顔

5月7日発売の『フットボール批評issue05』(カンゼン)では、特集「完璧主義者ハリルホジッチの妥協なき改革」において、ハリルホジッチのサッカー人生でもっとも多くの時間を共有した盟友、ブルーノ・バロンケッリ氏にインタビューしている。一部抜粋して掲載する。

text by 小川由紀子 photo by Yukiko OGAWA , Getty Images

W杯スペイン大会で落胆したハリルホジッチ

30年来の盟友が語るハリルホジッチの知られざる素顔
現役時代のみならず指導者としてもハリルホジッチとコンビを組んだブルーノ・バロンケッリ氏【写真:Yukiko OGAWA】

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、これまでのサッカー人生でもっとも多くの時を共有した盟友がいる。

 現在、ナントでアシスタントコーチを務める、ブルーノ・バロンケッリだ。

 ナントでの現役時代は攻撃のパートナーとして、指揮官になってからは、監督を支えるアシスタントコーチとして、バロンケッリはリールからコートジボワールまで、ハリルホジッチとキャリアを共にした。

「彼がナントに加入してきた頃のことは、よく覚えている。あの頃はまだ旧ユーゴスラビアの時代で、選手は28歳になるまで国を出ることができなかったから、ヴァイッドが来たのも28歳のときだ。フランス語もまったく話せなかったし、元来が内向的な性格だから、最初からチームのみんなと打ち解けたわけではなかったが、ピッチの上ではすぐに実力を発揮した。彼はストライカーに必要な要素をすべて備えた完成型のフォワードだった。長身だから当然ヘディングにも強く、足は右、左、両方を同じように使いこなし、プレースキックの精度も高かった」

 サイドアタッカーだったバロンケッリとハリルホジッチは、今のPSGに例えるなら、ルーカスとイブラヒモビッチのような関係だったという。

「ヴァイッドとは多くを語り合わなくてもわかりあえた。わたしがパスを出し、それをヴァイッドが決めた。すでに選手時代から、呼吸は合っていたんだね(笑)」

 ナントに加入した当時、ハリルホジッチには絶対的な目標があったという。

「翌夏のスペインW杯で活躍することだ。そうして世界に自分の才能を知らしめたいと彼は思っていた。ところが、予選で活躍して本戦出場に貢献したにもかかわらず、本戦ではサブ扱いでほとんど使われずに終わってしまった。ナントに戻ってきたときの彼の落胆ぶりは相当なものだったよ」

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