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故郷に錦を。クラブへの愛がレアルを変えるか。新指揮官ベニテスに望むこと

text by 山本美智子 photo by Getty Images

商業カラーのみに染まらない魅力的なチーム作りを

故郷に錦を。クラブへの愛がレアルを変えるか。新指揮官ベニテスに望むこと
ベニテスは、そのバランスを戻してくれる可能性があると期待【写真:Getty Images】

 その戦略は、クリスティアーノ・ロナウドのような一人で1チーム分の稼ぎをあげるような選手を手にすることで成功しているが、その分商業的に走り過ぎ、時にサッカー哲学に欠け、アンチファンも生み出す結果になった。

 ベニテスは、そのバランスを戻してくれる可能性があると期待をかけているのだが、マドリーサポーターの反応を見る限り、あまり好ましいものではない。

 ディフェンシブなサッカーをするベニテスの印象が強く、レアル・マドリーの求めるサッカーに合わないのでは、という危惧がある。また、既に来季のGKとしてデ・ヘア獲得にOKを出したと言われている。となれば、最初にぶつかる難関は、キャプテンでありアイコンでもあるカシージャスの扱いだろう。

 その一方で、新監督ベニテス発表について、ようこそ、と歓迎の意をTwitterで表したのは、キャプテンのイケル・カシージャスのみ、というのは皮肉な話だ。ペレス会長が下したカルロ・アンチェロッティの解雇に対して、選手が賛同していないことを遠回しに表現しているのだろう。

 それでも、レアル・マドリーが今必要としているのは、その年俸のみに惹かれてやってくる監督ではなく、クラブに対して愛があり、本気でレアルを再建したいと信じている監督ではないかと思う。

 リバプールにスペイン人選手を輸入し、スペインカラーをベースに自らのチームカラーを作っていったラファ・ベニテスが、ただがむしゃらに強く、商業カラーのみに染まらない魅力的なチームを作ってくれることを望みたい。

 魅力的なチームと熱い思いがあれば、サポーターは(そして経済利益も)ひいては、ついてくるのだから。

【了】

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