今月17日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場について安倍晋三首相は「計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直すと決断した」と正式表明したが、その撤回内容について野党議員から批判が出ている。

　民主党の玉木雄一郎衆議院議員（@tamakiyuichiro）は27日、Twitter上で「新国立競技場の見直し状況を役所に聞いて驚きました。何を見直すのか、内閣官房も文科省もJSCも、誰も把握していないことが判明しました。つまり『白紙撤回の内容が全く白紙』なのです。その結果、周辺の木の伐採作業や、霞ヶ丘アパートの住人への退去手続きはいまだに継続しています。大丈夫か？」と発言。

　また、同じく民主党の蓮舫参議院議員（@renho_sha）も同日、「新国立競技場、ザハ案白紙撤回。ザハ案だと強制退去の予定だった霞ケ丘アパートも白紙か、との確認をすると、どこまでが白紙見直しか未定とのこと。関係閣僚会議でも議論せず。が、市民団体の問い合わせに文科省課長補佐は、そうです、と答えていたことも判明。誰も見直し範囲を把握してない」と批判。

　新国立競技場の計画見直しは当初の予定よりコストが大幅に膨らんだことなどを理由に発表された。当初予定では、競技場周辺を公園にするなどその整備も含まれており、隣接する霞ケ丘アパートは取り壊しが決まっていた。

　ザハ案を見直すのであれば、霞ケ丘アパートの取り壊しや住人の退去は現状では必要ない。住み慣れた土地を去らなければならない事態に、難色を示す住人も少なくなかった。首相の正式表明後も、なぜ当初の計画が進んでしまうのか。

　政府は28日、文部科学省の久保公人スポーツ・青少年局長の辞任を発表した。新国立競技場の建設計画の担当者で、事実上の更迭と見られている。

　東京五輪まであと5年を切った段階で再出発となった新国立競技場の建設計画。だが、全容を誰も把握せず、担当局長も去った。計画はどこへ進むのか。五里霧中だ。

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