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開幕戦黒星のアーセナル。ヴェンゲルに突き付けられた2つの「現実」

text by 山中忍 photo by Getty Images

ベンゼマ獲得はなるか

開幕戦黒星のアーセナル。ヴェンゲルに突き付けられた2つの「現実」
獲得が噂されるレアル・マドリーのカリム・ベンゼマ【写真:Getty Images】

 噂のあるカリム・ベンゼマの加入が実現すれば、足下志向のスタイル的にも最適な補強。当人も移籍先としてはアーセナル希望と言われる。普通ならば商談相手が実質的な前線のキーマンを手放すとは思えないが、大物強奪と同じく大物処分があり得るのがレアル・マドリーというビッグクラブ中のビッグクラブだ。

 そのマドリーが欲しがっているダビド・デ・ヘアという「交換条件」を持つマンチェスター・ユナイテッドに商談を邪魔された場合には、パリ・サンジェルマン(PSG)でローラン・ブラン監督との関係悪化が伝えられるエディンソン・カバーニという選択肢がある。ベンゼマとは異質のCFだが、ジルーからの大幅アップグレードが見込める候補である点は同様だ。

 同時にヴェンゲルには試合中のベンチでも積極的な姿勢が欲しい。勝負師タイプではないヴェンゲルは戦況への対応が遅れがち。開幕戦でも、ダイアモンド型の中盤にFW1名も下がって守るウェストハムを相手に攻撃が中央に偏って攻めあぐんだが、アウトサイドからの攻撃を意識した選手交替は2点リードされた後のことだった。

 交代はないまでも前半の内に、先発した2列目トリオで最もウィンガー風なアレックス・オクスレイド=チェンバレンに対し、外に開けとの指示を徹底する手もあった。当日の自軍両SBは、レギュラー格のキーラン・ギブスとヘクター・ベレリンではなく、ナチョ・モンアレルとマテュー・ドゥビュッシーで、後方からの攻撃力が通常より減ってもいたのだから。

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