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【現地レポート】「匂いが分かる男」岡崎が見せたゴールへの“嗅覚”。流血、タックルにも漂う充実感

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

レギュラー定着へ大きく前進

 しかしその一方で、「だがまったく驚いてはいない。シンジは… (匂いを嗅ぐ仕草をして、鼻をクンクンさせる)ボックス内で匂いが分かるだからだ。あれは、シンジにとっては普通のゴールなんだよ」と、日本代表のゴールゲッターについて、独特な言い回しで形容した。

 筆者の「シンジはより高い位置でプレーしているように見えたが、あれは指示だったのか?」との質問に対して、イタリア人指揮官は、「指示はほぼ先週と変わらない。ただ相手が違うから、状況は変わったのかもしれない」と答えた。

 もしくは、ラニエリ監督の言うように、ゴールへの嗅覚に優れたストライカーだからこそ、昨日は自然とゴール方向へと引き寄せられたのかもしれない。

 勝利につながる重要な先制点を決めたうえ、さらに2点目の際にはボールを溜めてから抜群のタイミングで味方にパスを出し起点にもなった。先週は動き回って献身的な守備力を褒められたが、今週は持ち前の攻撃性能の高さを示すことに成功したのである。

 岡崎は言う。

「(重要な得点は)本当に自分が欲していたものだった。周りも自分にもっと求めて欲しいから。今までは守備とかキープとか、そういう面では貢献してきたかが、ゴールを取ってさらに認められるというところがある」

 これでレギュラー奪取に向けてグッと前進した。しかしながら、当然1点だけでは安泰ではない。今後は、どれだけコンスタントに、またより難しい相手との試合でそれができるかが課題となっていく。この点については、本人も十分に理解している。

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