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今季は既に14人。なぜフランス人選手のプレミア移籍は多いのか?

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

高額な移籍金でプレミアリーグへ渡るフランス人選手

トレンドとなった『リーグ1→プレミア』。英国が求めるフランス人選手のバリュー
プレミアのクラブへ移籍したカンテ、タバヌー、ンジエ(左から)【写真:Getty Images】

 前述のカンテに、レスターは630万ポンド(約900万ユーロ、約12億1500万円)を支払ったが、彼の市場での価値は約半分。なにより、フランスには彼に900万ユーロも支払うクラブは存在しない。

 カーンは昨シーズンの頭にリーグ2のブーローニュから彼をフリーで獲得しているため、わずか1年で900万ユーロの利益を上げたことになる。

 カンテなどはまだ安値な部類で、アマビは1300万ユーロ(約17億5500万円)、ジョーダン・アィエウも1200万ユーロ(約16億2000万円)、ベレトーも1100万ユーロ(約14億8500万円)と、移籍金非公開のゲイを除く3人の合計だけでも、ヴィラはリーグ1に3600万ユーロ(48億6000万円)もの資金を注いだ。

 またスパーズは、昨季リヨンでプロデビューしたばかりの21歳のFWクリントン・ンジエに1400万ユーロ(約18億9000万円)もの大金を支払ったが、彼の市場価値はその3分の1程度だ。

 今夏サウサンプトンからユナイテッドに移籍したMFモルガン・シュナイデルランのように、フランスリーグでは無名の存在でもプレミアで活躍しているフランス人選手がいることも、イングランドのクラブが未知数のフランス人選手に思い切った金額を支払う後押しになっている。

 その一方で、すぐにUターンするケースもある。昨夏、期待を集めてニューカッスルに巣立ったレミ・キャベラは、わずか1年でフランスに復帰。マルセイユが買い取りオプション付きのレンタルで獲得した。

 昨夏スパーズ入りしたパンジャマン・スタンブリも、パフォーマンスは決して悪くはなかったものの位置づけはカップ戦要員であり、1季だけのプレミア経験で今夏PSGへの凱旋を決めた。

 しかしそれでも、若い彼らにとってマイナスとなることはほとんどない。プレミアリーグでプレーした経験は、その後のキャリアに活かされる。双方にとって利のあるこの関係は、今後も続きそうだ。

【了】

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