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【英国人の視点】Jリーグは“アジアのアーセナル”に…柏vs広州恒大が示す日本サッカーの立ち位置

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

組織的になる必要すらなかった広州恒大

 日立柏サッカー場で中国の広州恒大が活気のない柏レイソルに快勝した火曜の夜は、準決勝進出の可能性を残す2ndレグが控えているとはいえ、それがクローズアップされる決定的瞬間となった。

 広州恒大の3ゴール全てがセットプレーから生まれたことや、ブラジルW杯でセレソンの一員だったパウリーニョのFKを目の当たりにしたことで、一部の人々は1-3で敗れた柏は不運だったとの見解を示した。

 柏の敗戦は理解の上に成り立つものだったかもしれないが、実際はセカンドギアのアウェイチームが60分で3-0とした試合だった。

 そう、広州恒大のゴールは思いがけない産物であり、チーム自体も2013年にマルチェロ・リッピ監督の下でタイトルを獲得した当時のものより不完全な状態だった。しかし、現実では彼らが組織的になる必要すらなかった。

 両チームのポゼッションは均等だったが(柏49%、広州51%)、柏がクオリティー、集中力、そして重要とされるインテンシティーの部分で相手を上回ることはキックオフから試合終了までなかった。

 ホームチームはうまくボールを保持していても打開術があったようには見えなかった。一方、ルイス・フェリペ・スコラーリ率いる中国4連覇王者は攻撃に活力や鋭さがあった。柏が2013年にホームで広州恒大に1-4と敗れた準決勝を思い出していれば、アウェイでの逆転突破に向けて出来るだけ多くの得点が必要だったはずだ。

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