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48歳の新たな挑戦。アスルクラロ沼津で電撃復帰の中山雅史。“熱き魂”の近況に迫る

JFLのアスルクラロ沼津で、電撃的な現役復帰を果たした元日本代表FW中山雅史。選手登録後に行われた公式戦2試合でまだベンチ入りを果たしていないが、ジュビロ磐田と日本代表における戦いで培われてきた熱き魂は、J3参入を目指す若いチームへ確実に伝わっている。3年近いブランクを埋めるために奮闘している48歳の近況を追った。

text by 藤江直人 photo by Getty Images

クラブ史上最多の動員数を記録したソニー仙台戦

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電撃的な現役復帰を果たした元日本代表FW中山雅史【写真:Getty Images】

 48歳になったばかりの中山本人が、誰よりも忸怩たる思いを胸中に募らせていたのではないだろうか。

「チームが下痢のときと便秘のときにだけ、僕に出番が回ってくるんですよ」

 ハンス・オフト監督に率いられた1990年代前半の日本代表で、スーパーサブとして記録と記憶に残るゴールを連発。「ゴン」という愛称とともに、全国区の人気を博していったころの中山の口癖だ。

 中山流の定義では「下痢」は大差がついている、対照的に「便秘」は拮抗している試合展開となる。そして、目の前で繰り広げられている一戦はまさに「便秘」そのものだった。

 10月3日。中山が現役復帰を果たしたことで大きな注目を集めたJFLのアスルクラロ沼津は、ホームの愛鷹広域公園多目的競技場にセカンドステージ首位を走るソニー仙台を迎えた。

 詰めかけた観客数は8337人。今シーズンはもちろんのこと、前身の沼津アーセナルが設立された1977年から現在に至るチームの歴史上でも史上最多を記録した。

 満員となったメインスタンドが発した熱気と大声援が、選手たちを鼓舞したのか。0対0で折り返した後半20分に右サイドを完全に崩し、最後はMF蔵田岬平が先制点をゲットする。

 ここまで無敗をキープしてきたソニー仙台も、怒涛の反撃に転じる。6分後に同点ゴールを、3分間のアディショナルタイムに突入する直前の45分には決勝ゴールをともに頭で叩き込む。

 ダメ押しの追加点。相手を再び突き放す勝ち越し弾。そして、起死回生の同点弾。スーパーサブに求められる役割が刻々と変化していくなかで、スタンドで観戦していた中山は戦況を見守るしかなかった。

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