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6千人本拠地に予算4億円。それでもエイバルが好調な要因と乾がクリアすべき壁とは?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

がむしゃらな姿勢と高い枠内シュート率

 そして、パスやドリブルといった技術的な質以外の部分を見ると、この好スタートの要因が見えてくる。

 まず、エイバルの試合を観ていて感じるのは、何よりも「がむしゃら」であること。現代では徐々に変化しつつあるものの、やはり華麗な攻撃サッカーというイメージの付いているスペインにおいて異質とも感じられるスタイルを見せている。

 そのファイティングスピリットはデータにも表れており、イエローカードは28枚でヘタフェと並ぶリーグトップ。それでもレッドカードはゼロ。そしてインターセプト163回(リーグトップ)、ブロックショット21回(11位)、クリア240回(2位)を合計したディフェンシブ・アクションは424回で断トツのトップ。

 何より重要なのは、これだけ守備に奮闘していながら、失点につながったミスはわずか1回。当然ながらリーグで最も少ない数字となっている。

 そういった守備面での奮闘はセビージャ戦でも光っており、23回のタックル、20回のインターセプト、33回のクリア、19回のブロック、そして16回のファウルでイエローは2枚。9回のファウルでイエロー3枚のセビージャと比べると、守備の精度は高い。

 そして、その守備の奮闘を勝ち点に変えているのが枠内シュート率でリーグ2位の54%というシュート精度の高さだ。当然のことながら、平均支配率45%ではなかなかチャンスは作れず、チャンスメイク数はリーグ15位の56回。

 それでも、今節の1点でリーグ6位の11得点を挙げている背景には、この枠内シュート率の高さがあるだろう。さらにセットプレーからの得点でもリーグトップの6得点を記録。このセビージャ戦でも開始わずか7分にFKのクロスからFWボルハ・バストンがヘディングで自身今季5点目となる先制点を決めている。

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